カミーノへの3日目 2019/6/4

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ごろごろ。

むくり、ごろごろ。

眠れないまま5時半ころに起きる。

緊張してるというか、人の気配がずっと気になっているようで熟睡できず。

イビキスト(※いびきのひどい人)はいないけど。

気分が高まってるのかな。

 

真っ暗だし、空気読んで、人が起きてきてから起きよう。

うーん、こーいうところがザ・日本人よな、と思う。

寒い。

さすが山の上。

少し体を慣らすため、外に出ようかな・・・と

着替えなくてもそのまま出られる格好をしてました。

 

そっと小屋をでて、道端にでる、と!

見事な雲海がたなびいていた。

向こうから光の玉みたいな太陽が昇ってくるのが見えて、ぴりっとした寒さと、神々しいまでの日の出と雲海。

こ、これは・・・・すごい。凄まじい景色をまのあたりにしている。

ケ マラビーア!素晴らしい!

ピレネーの山にもくもくと敷き広がる白い雲海に、濃い太陽の燐光。

真っ赤な丸い太陽がもももも、と登ってくる。

なんって美しいんだろう。もう帰ってもいいか、と思えるくらい美しい。

私の横にきた女性、日本人の歌うたいの女性(名前は知らない・・・)と

二人でその美しさに圧倒されて見つめあってうるうるした。

朝7時半、出発。空は晴れてとても気持ちのいいピレネーを歩く。

 

朝日がつくる日陰は、小石ひとつひとつに影をつくっていて、そうか、小石がどんだけちいさくても日陰をつくっておるんだなあと、この度最初に気づいた足元。

朝日の日陰は、のびやかで、なんだか昼からの日陰と違う感じがする。

 

山道とはいえ、アスファルトで歩く道は整備されていて、雪さえなければ山を歩くひとたちからしたらとても歩きやすい道だと思う。

すごく健康的で、のびやかな、すがすがしい道。

牛や馬、羊が放たれていて、牧羊犬とおんじいがトラックでのりつけては牧畜しているのを眺めたり。

道の横に転がる石には、カミーノのマークを書いた石が多々みつけられて、何人もの巡礼者がここをとおっていったのか・・・と道を歩くだけで歴史を歩いている心持になる。

オリソンあたりから、「BUEN CAMINO!」の掛け声と追い抜かしを経験し始める。

そう、ここから30日以上毎日この「BUEN CAMINO!」を聞く。

その一言を聞くたびに、言うたびに、コンポステラへの道が近づいていく。

この言葉が、巡礼者の仲間意識を生み出して、数百数千キロ、同時多発巡礼者一体感を作り出す。と思う。

本気で人種のるつぼ。

世界一周したいなとおもっていたけど、カミーノであらゆる国の人に出会うな、と思う。

ブエンカミーノ!と私はとても聞くことが多かったのだけど、それはある意味楽しいことなんだな、とあとから思う。

基本的には歩いてる最中は後方から抜かすとき(宿を出発するときとか、見送るときとか、カフェでしゃべって別れるとき)ブエンカミーノ!っていわれるわけで、

まあほんっとに抜かされた抜かされた。

あるくのおっそいから。

抜かされる抜かされる。足もみっじかいから。

最初は抜かされてると、自分のとろくささによっぽどヘタレを感じたけど、いそぐことが目的ではないからねえ、いいんだよねほんと。

 

ロバをつれて歩いてる人。

国境にある、トラック行商の「ここがフランスさいごのしょっぷ」って各国の言葉でかいてくれているお店。お昼だから、バナナとコーラを買った。

舗装された道だけど、ガードレールなんてないからバランスをくずしたら、

ころころころ、と果て下までころがりそうな緑の丘陵。

風が強くて帽子がとばされて、あきらめたときに、巡礼のおじさんがキャッチしてくれたけど、あとすこしで道を落ちそう!なところまで帽子を追いかけてくれた。

羊の集団が道の真ん中で、めえええんんんん!ってだんごになっていて、

ごめんなーごめんやけどとおしてなーって言いながら、かき分けて歩いた。

道端の矢印か、白と赤のマークのフランス人の道のマークを見落とさないように、

健やかな土の道を、アスファルトの道を、緑のトンネルを、枯れ草のしきつまった柔らかな道を、国境にある鉄の渡橋をとおって、ナバーラ州へ入った。

石砂利の道はすきくない。下りのときにずっこけやすいし、ケガをしやすいから。

しめった枯れた葉っぱのしきつめられた道は、柔らかでふかふかして、歩きやすい。

たった一日で、好き嫌いのできる、あしもと。

23キロほどか、朝7時半出発でロンセスバジェスのアルベルゲにやっと到着。

 

途中でなーんか誰もいなくなって、見回り(たぶんカミーノ見回りパトロール隊?)に心配されたのか、道をはずれたのかわからんが、あってるのかあってないか

わからないような草がふっさふさした道をじぐざぐ下るひとりぼっちタイムが1.5時間くらいあって、そういうとき、「・・・まちがったのかな・・・」

って不安になるよね。

外国のしらんところをアプリと目印を頼りにぽてぽてと歩いてる自分の所在のなさ。

 

とかいうてたら、かの有名な、ロンセスバジェスの修道院アルベルゲに到着!

霧雨のたちこめる、しっとりした天気模様になった15時すぎ。

日本語でようこそ、と書いている箇所もあって、ほほえましい。

入り口をぎいっとあけると、いるわいるわ、チェックインの列がずらーーり!

標高950メートルらしいし、雨もしっとりしてきたし、ギリいい時間についた気がする。

ここは予約の返信メールがあるもんね!としかし順番待ちはまちなので、

おとなしく30分ならび、メールをみせたら

「?支払い済のメールはないの?」

と言われ、クレジットカードで入金したけどそのあと返事メールがなかったな・・・となり、予約はされていないとなる。

へこむよねー、またかよー。

正直もう、なりふり構わず、二重払いになっても12€くらいだからもういい・・・と、現金で支払う。自分の確認ミスだから仕方ない。

あと20人くらいは余裕があったみたいだけど、ベッドの空きがあってよかった。

予約者が多いのか、はたまた人が多いのかわからないが、

巨大アルベルゲなので、そうそういっぱいにはならない、というのは昔の話で、

事前にチェックしたツイッター調べでは4月5月出発組の方々が、フルで困った、というのも目にしていたので、結構ほっとした。

ここからあと、私は7月半ばまで、公営より私営のアルベルゲをネットで予約したり、当日到着してからおたずねする、というので行ったけど、幸い、本当に幸い、

フルだから次の町へいきなさい、というのはなかったな。

俺の英語力と電話のなさでは、そんな臨機応変無理だからよ・・・。

 

ベッドのブースにあてがわれたブロックは、二段ベッド二つくぎりの上だが、

この修道院はくぎられているけど天井がくぎられていないタイプ。

いうなれば…漫画喫茶しきりが、天井まで区切ってないっていうのかな。

4人(ベッドふたつ)で1室だけどドアもないし、仕切りが二段ベッドのところまでで、

ダンベッドの上の人が全員上半身おこしたら、みんなで手をふりあえるみたいな。

 

そんなわけで、声がだだもれ。

 

私のブースは、私以外イタリア男3人連れ。

まあ、今思えば一人はイケおじだったかな。爆。

ただし、私がはいっていたら3人で「おいおいここのおやじのいびきはまじパネエけど大丈夫かいおじょうちゃん」って感じだった。

えへへーまあ大丈夫でしょう、あっははーってかわしながら、ときどき斜め下のおじさんと目があって、にこってした記憶はある。(だがべつになにもない、ZANNEN))

 

男子囲まれブースのため、着替えと洗濯とを瞬間なやみ、

シャワーあびて明日出発の恰好したらそれですむわけだし。

3日分しか服をもってきてないのに2日分は着てしまって洗ってない。

1日分くらい洗いたいなーと思っていたら、地下にランドリーサービスがある、と。

もっていったら、本当に、洗い専門の兄ちゃんがうけとってくれて、3-4€払ったら

乾燥までやって、そしてベッドナンバーを伝えたら、仕上げのところに番号かいてるかごにあった。感動。だがしかし、生乾きだったぜ兄ちゃん!

 

外にでると霧がとても濃くなり、宿の屋根さえもしっとりと霧が覆っていた。

修道院のまわりを探索しようにも雨が億劫で、レストランがあるようだ、という以外ちょっとわからなかった。

まあ、16時に到着してるから、洗濯もしたらあとは夜ご飯だけなんだよね。

 

食事込みにしたので、時間になったら修道院の横にある2件あるうちのどちらかにあてがわれ、人数の多い宿泊者をわけられる。ポサダレストラン。だったかな。

料理はメインを選べる中、ここくらいだったか、魚をえらべたのは。

しかし大勢食事、ちょっと疲れちゃって全くしゃべられず、ベッドに行きたい・・・とおもうところ、レストラン側から、ここはしめるからしゃべる人は外へ、とのことだったので、けっこうお開きが早かった。ありがたい。

このあと、巡礼者にむけてのミサがある、というのを確か聞いていたな…と思い、よくわからないけど参加していいものなら参加しよう、と20時くらいだったか、併設する教会へ入る。

ミサはおそらく、フランス語、スペイン語、英語がメインで、20-30分くらい、神父、シスタ、もしくは巡礼者を指名して聖書の何章かをよみあげる。

アーメン、と列席者も祈る言葉を口にしたり、知ってる人は一緒に詠唱している様子。

ここのミサでは、最後に隣人を愛せよ、とでもいってるのか、横にいる人前にいる人

とりあえず回りにいる列席者同市でハグとか握手をしまくった。

めっちゃイケメンとか同年代異性とかだったらこれ、日本人的にはなかなかのことだなあ・・・と思いながら、私はラッキーなことに、可愛い若い金髪女の子。

やわらかーいハグをして前後左右と握手をし、なにもわかってない日本の人でした。

 

この日にお気に入りのピアスを風呂場でなくす。

まあ、私のなにかのみがわりになったんだろうな。

てか、私のお気に入りマスコットもミッシング。

きっと私の身代わり・・・だろう。

 

ミサが」21時ころにおわり、消灯までにベッドの上をきれいにかたずける。

朝にすぐ、出発できるように。

 

ベッドに入り、消灯タイム。

 

ぐ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ゴオ・・・・・

おおう、睡眠タイム10分でこれか・・・と、私のブースのおじさんのいびき。

まあまあすごくて、暗闇の中他のブースから、いびきのたびにくすくす、くすくす笑いが止まらないみたいな押し殺した笑い声がきこえた。

 

まあなあ、いびきの人かわいそうだけど、これ、寝入りばなでこれだと夜中はやばいなーって思いながら。ごろごろごろごろ、やっぱり熟睡はできなかったのでした。