カミーノへの2日目 2019年6月3日

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むくり。6時。

 

バイヨンヌからサンジャンまでは1時間くらい、始発でも8時台。もっと早く行きたい日本人・・・いや、すべて急ぐことではないのだ。

急がない。ゆっくりあるく旅。

しんどくなったら途中でフラメンコ教室で習うってことでもいい。

貯金は100万まで引き落としていいから私!と自分を甘やかすつもりできたけど

朝出発おそめの電車でまずくじける。

ほんのり水をのみ、うっすらカロリーメイトを食べ、

カラダだけ起きて電車出発までうずうずする。

コーヒーでも飲もうかな、と駅をうろうろしていると、

おおおおお!そのリュック、そのいでたちは絶対カミーノ行くね?

って人がちらほら。

電車ではなく、バスでサンジャンに行く事もできるらしいんだけど、

よくわからなくて、とりあえずいけたらいいか、と切符をかってのりこむ。

・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・出発時刻なのに、、、でない、、、な?

どうやら、出発時間遅くなります、的なアナウンスがはいったっぽい。

急ぐ旅ではないけど、予定としては、

電車一時間ゆられて、9時台到着、

巡礼者事務所にいって話して10時台、

そこからあるいてピレネー山の上の唯一しかない宿オリソン、

巡礼事務所から宿まで10キロくらい・・・山の10キロってどんなもんだろ。

夕方には到着したいんだけどな、・・・と

電車何分出発遅れるのかな・・・?

何時間単位だったら詰むよね・・・と平常心を保つ小心者。と、

「どこからきたの?カミーノにいくのよね?」

と前の席に座るアジア女性が椅子の横から顔だした。にっこり感じのいい笑顔。

巡礼者初しゃべりや!と英語ドヘタな私、でも相手は台湾人。

柔和な顔の旦那さんも一緒で、夫婦でカミーノ。いいなあ。

サニーさん、年は30半ば。お子さん2人をおいてきた、と。すごいな。

今回は途中まで行って、いったん帰るとのこと。

旦那はオメガと呼んで、といってくれて、電車の中で仲良く話す。

台湾人は話しやすい優しい。

「オリソンの宿は取ってるの?」ときかれ、

「中途半端なの(メールをおくったが返事がない状態)」と答えると

あそこはすごく混むらしいから予約しないと危ないわよと心配してくれる。

 

そんなこんなで遅延は15分くらいのかわいいもので出発してくれた。

9時半ころにはあのかの有名な焦がれていたサンジャンピエドポーに到着。

焦がれていたんかい。なんとなく・・・。w

 

到着したものの、そんんなには巡礼者風の人がいなくて、

電車おりてから行く方向がわかるようなわからないような標識を探して、てくてく。

サニー夫婦はトイレとかいってて、このままだと頼りたくなっちゃう病がでるので

一足先に行くね、と先にでたが、10分で迷っているところを追い付かれる。w

 

結局3人で一緒に巡礼事務所について、他の巡礼者はいないし、私もサニー夫婦もアジア顔だしまとめて巡礼事務所のボランティアさんに説明を受ける。

うううん、8割がた英語がわからないぞ。やばす。

話せなくてもなんとかなるんだけどさ。たぶん。

 

話せなくても、巡礼者の印であるクレデンシャル(巡礼証明書)を買い、名前を記入し、サンティアゴまでの距離の用紙とか、宿リストとか、日本語の注意用紙もくれて

こう、ドラクエの「ギルド」的な気分を味わう。クエストが発生する気分。

いやま、自主的にクエストにでるんだけどね。

事務所のホタテ(寄付制のやつ)をもらい、リュックにつける。

重さを計るはかりもあったので、それではかったら10キロ。

あれ?

日本では8キロだったよ?

????!!!!!!水の重さを計算してなかったヴォケな私・・・・!!!

「ちょっと、重いんじゃない?」とサニーに心配される。

お、重かろうといまここで何かをすてるわけにはいかないからね・・・?

 

そしてサニーが巡礼事務所のおっちゃんに

「この子の分、オリソンの宿に予約入ってるかどうか確認してもらうことはできない?」

ときいてくれる。

ええええ、そんなん、自力でやれっていわれるだろうし、とお願いするつもりはなかったのだけど、、、、ってか、Wi-Fiないし電話できないし到着してからでいいかな・・ってなめてる私。

予想通り、それは事務所ではしないよ、と断られた。そうだよね。

トイレにいって、荷物背負ったところ、サニーが他のおじさんを捕まえて、

また質問してくれた。

い、いいよ、サニー・・・。サニー夫婦の分は予約済なのに、と申し訳なく思ったら

そのおじさんは、

「おう!いいぜ!名前は?ん?日本人な!うんうん・・・・あいてるってよ!予約したぜ!」

ってあっさりとってくれた。他に巡礼者いなかったしかな?

サニーがほっとしてくれて私ももちろんほっとして、御礼言いまくったんだけど

ちょっとこの後このことで、もめることになることはまだ私は知らない・・・。

 

サニー夫婦はおなかすいたからお昼ご飯食べてから行くわ、と別れ、

私は一人で出発する。

 

わーい!出発!と、サンジャンの門を出て、印のあるほうへ踏み出す。

しょっぱなはたいしたことないアスファルトの坂道やん?

カミーノの矢印がフランス的(赤と白のマーキング。スペインは黄色のペイント)

ですなあ、天気がええなあ、日本の田舎みたい・・へーとか、余裕ぶっこいて

ヘロヘロゆっくり坂道上ったよね。

歩いてる人が全然いなくて(出発したのが10時半。おそらく巡礼者は朝6.7時台にでて

当日オリソンの次のロンセスバジェスに到着するつもりが多いと思われる)

ふっくらした欧米系の女の子(…相当ふっくらしていて心配になるくらい)がジグザク歩き(坂道をのぼるとき、ジグザグ歩くと楽)をしてはる。 

ジグ・・・ザグ・・・。

ゆっくり。

じぐ・・・ざぐ・・・ぜい・・・はあ・・・。

 おいおいおいおい!

大丈夫?

 

なんて・・・このときはおもったけど、その10分あとくらいに、キタ。

し・・・しんどい・・・。。

わ、、、私…無理かも・・・(歩き始めて30分・・・)

通常だったら3時間でつくよ!といわれる10キロくらいのオリソン。

はい、私、15時につきました。5時間かかりましたよねー。

ほんっと、そりゃ、ピレネー山脈ですよ?そこへ入ろうってんだから、そりゃあちょっとずつしんどくなるよね?

どう考えても、運動していたり軽い人は、こんなん3時間やと思う・・・・

30分でしんどくなる虚弱日本人。

うん、リュック10キロだしね。

普段歩いてないしね?

100歩あるいて、5分休む・・みたいになっていた。

1時間おくれて出発してきたサニー夫婦にびっくりされるくらい、軽く抜かされて。

 

ふとっちょの43歳、10キロの負荷がかかったからね・・・って

すこしずつ、景色が広大になっていく。緑、の牧草みたいなのがどんどん下にみえていく。

なに、、、この、、、ゴロゴロ石のそのままの舗装してない道・・・みたいなところを

そろり・・そろりとあがり、

距離はもう1キロもないというのに、あゆみがのろい。

5人くらいの欧米系に「お!アハっ」みたいな笑顔で抜かされて

ぜいはあぜいはあ、一人恥ずかしいくらい息があがる。

地図アプリではあと500メートルなのに、このちょっとした長さが永遠のようだ・・・とカーブをちょっとまがった右手に小屋が見えたときは、

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!りそん」

「REFFUGE ORISON」の看板が輝いたね。天気よかったし。

私ほど喜ぶ人いなかったんちゃうか、ってくらい、みんな余裕だよね?

気が付いたら標高の高いところまで登っていて、雲海が見下ろせる。

ふわああ・・・自分の意志で山の上まで結構あるいたああ・・・!!

オリソンの宿前のカフェにはサニー夫婦がすでにくつろいでいて、手をふってくれた。

 

やーもうほんと、私って体力ないなあ、あははのはーとチェックインしようとしたら

「あなたの名前?んん、、、ないわよ?」

と受付にいるポニテ女子に言われる。

え?

「え?うそやん」ぽかん顔私。

「うん、日本人、パスポートみせて・・・ないわよ?」めんどくさげポニテ

「え?え・だって電話、事務所の人からしてもらったはず・・・」冷や汗私。

「あ?13時到着予定ていってるのに来なかったでしょ?だから名前消したし」

そのあいだにもビールの注文が入って半無視ポニテ

(※チェックインカウンターはカフェカウンターでもあるのだ)

「は?いやいや、そんなんいうてませんけどどど」英語と日本語が怪しい私。

「だから、事務所から予約したときはあと3時間くらいでつくってきいたけど」

けんもほろろポニテ。にこりともしねえ。忙しいんだろうけどよ

 

だああああああ!!!!!!!!!!!

そんな約束してないし!してないし!フランス語でそんなん話してはっても

わからんがな!私の体力がなかったから到着できなかっただけです!でも2時間だけ

ずれただけじゃんよー、消すかよ名前ー、連絡できなくてごめんなさいってばー

ふえーんどうしよう。

マジ半泣き。わっつ?あいむ・・・しか言えない。

「降りてサンジャンにもどるか、次の村にいくしかないんじゃない?」

みたいなことを言ってるような気がする。いけずかよ、ポニテ女子。

「も、もう、ベッドは満室なん・・?」おそるおそるきく。

「ま、あるんだけどね」

あるんかーーーーーーーーーーーい!

 

まあな。意地悪なのかわからんけど、毎日毎日いろんな人来るもんね。

連絡しなくてごめんちゃい。一泊夜ご飯付き、40€。

はあ・・・。よかった・・・。

はああああああよかった・・・。

サニーちゃんが様子のおかしい私の横にきてくれて、心配そうについていてくれた。

「大丈夫?よかったねー、ここまでしんどかったもんねえ!」

サニー・・・天使・・・。

 

初・山の上アルベルゲ。

オリソン村。冬は雪深くて閉鎖される。たぶん11-4月くらいは。

 3分で1€のコインシャワー、髪は洗わずとりあえず履いてたパンツで体あらいながら下着を洗う。他は山の上の水はもったいなくて洗わない。

部屋は二段ベッドが10台くらいはいっていたか、もっとかな。

清潔感はあったし、悪くない。

 

荷物を下ろして見晴らしのいい宿前のカフェに行くと、サニー夫婦がおいでおいで、と。

もっちろん、ビアーーーーーー!待ち構えましたで!

二人も飲める口だったので、乾杯ッ!

オリソンからの風景は本当に気持ちよく、これから始まるピレネー歩きへの期待が高まる。そしてカミーノへの最初の峠を初めて越したとこ、という場所。

 

夜ご飯は宿しかないので、時間になると宿泊者全員が席に着く。

実は私は、この全員でご飯、が苦手である。

コミュ障っつうか、英語が早くて早くて聞き取れないし、なんていうか、

ながーいつくえに、ながーい椅子、20人ずつくらい向いあって座る、みたいな感じで

英語がもちろん共通語だが、全然ついていけない。

料理はとりわけだし、ワインもシェアだし、ときどきは話するんだけど、

まあ、わからない。

日本人ってしゃべんないよねー、ぴしゃり!みたいなジャーマン女とか、

アルゼンチンからきたのよー、っていう陽気なおばさんとかいたけど。

オリソンの食の場は、そして、自己紹介をしなきゃならない。

ひいいいい!

みんなの前で話すのが苦手な日本人!きっつーい!

ひとりひとり、立って、自己紹介。

日本の人も夫婦の方がいたのはわかったけど、うん、日本人でかたまるのは

よろしくない(嫌がる人がいるのをしってるし)。

18時に食事会がはじまり、食べ終わってるのは19:30あたりだろうか。

ワインもはいり、しまいにはもう、みんなものっすごいしゃべりあっていて止まらない。

ええ、はい、私は全然わからなくてヒアリングの練習とばかりに、

にこにこだまって聞いてると、会話に入りなさい的になって、困る。

わかんねーよー、ワインの産地の話してると思ったらアメリカの健康保険の話を

してるような気がするし、と思えばドイツの教育の話かな?と思っていたら

日本の桜の話を振ってる気もするし。

ひいいいい!と、わ、、、私疲れたから・・・寝るね・・・?って

21時にベッドにすっこんだよね。

 

サニー夫婦は楽しく他の席でお話ししていたみたい。

ベッドにすっこんで、電気は22時消灯なので、日記を書いたよね。

 

カミーノへの2日目、了。

・・・ちなみに、目がさえて、実はほとんどねむれなかった・・・。